世界におけるハンセン病の状況、2004年

(Vol.26 p 183-183)

WHOのハンセン病制圧計画は、2005年末までに有病率を人口1万対1未満にすることを目標としているが、大きな成果を挙げつつある。戦略の核は診断可能な施設への容易なアクセスと、多剤併用療法の無料での提供であり、それらに関してWHOは関係国と連携を行ってきた。すべての流行国でハンセン病の認識が向上し、政治的コミットメントを得ることができた。ハンセン病の医療は一般の医療サービスに組み込まれ、1995年以降、すべての国で多剤併用療法は無料となった。全世界での有病率は過去20年間に90%減少し、1,400万人以上のハンセン病患者が治癒した。年間の新規登録患者数は1998年の804,000人をピークとし、2003年には515,000人まで減少した。また、有病率が1万対1を超える流行国は1985年には122カ国みられたが、2004年初頭現在、9カ国に減少している。

多くの流行国では様々な理由により、計画の実施には時間がかかっている。加えて、ハンセン病を専門とする人や施設への依存が、新たな人材の育成や一般の医療従事者が責任を共有することを妨げている。ハンセン病制圧のためには、さらなる差別の減少、サービスの質の維持、サーベイランスの強化、治療薬剤の供給、啓発推進、人材育成やネットワーク構築に取り組む必要がある。現在、ハンセン病制圧計画は重要な局面にあると考えられている。前述の9カ国は様々な理由により、いまだ目標に到達していないが、数年で達成することが見込まれる。このうち数カ国では、不十分なサーベイランスにより実情が反映されていない可能性が示唆されており、サーベイランス強化が実施される予定である。また、制圧目標を達成した国の中にも、地域レベルでの発生が見られるところもあり、継続的な対策実施が必要である。ハンセン病制圧の目標に向け、診断や治療がより身近に行われるために、ハンセン病の医療を一般の医療システムの中に組み込む政策を緊急に強化する必要がある。

(WHO, WER, 80, No. 13, 118-124, 2005)

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