オランダのワクチン接種率が低い宗教団体での風疹集団発生が拡散、2005年−カナダ

(Vol.26 p 181-182)

2005年5月17日までに、オンタリオ州南西部において214人の風疹確定例が報告された。これらの症例はキリスト教改革派団体に属し、5人の妊婦も含まれていた。2004年9月にオランダのキリスト教改革派団体で始まった風疹集団発生では、5月17日までに309人の確定例が報告され、23人の妊婦を含んでいたが、この事例がカナダに拡散したものと考えられる。この事例が発生したキリスト教改革派団体は、オランダの団体と歴史的・社会的な繋がりがあり、人の行き来も活発である。

オランダおよびカナダの当該団体でのMMRワクチン接種率は低い。接種者での発症率はそれぞれ0.3%と0.6%であることからすると、MMRワクチンの効果は非常に高いと言える。

オランダおよびカナダでは集団発生の期間中、未接種者を対象にMMRワクチン接種が無料で提供されている。オンタリオ州ではMMRワクチン未接種の学童の無期限登校禁止の命令が出され、風疹症例の隔離、接触者の監視、旅行制限などを行うようアドバイスがなされた。オランダでは事情は異なり、妊婦に対して風疹症例との接触を避けるようアドバイスすることが重視されている。

ただし、これらの施策の効果は高くないと思われる。なぜならば、キリスト教改革派団体では宗教上の理由でワクチン接種を禁止しているし、風疹は発疹の出現前に最も感染性の高い時期があるし、風疹ウイルス感染は無症状であることが多く、症状があっても通常は軽症であるため、診断されるのは少数であるからである。

現在、公衆衛生当局はキリスト教改革派団体と保健医療従事者での認識を高め、(分子)疫学上の関連性を立証し、先天性風疹症候群のサーベイランスを強化することに焦点を当てて活動している。

(Eurosurveillance Weekly, 10, Issue 20, 2005)

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