保育所で発生した腸管出血性大腸菌O26 による集団感染事例−郡山市

(Vol.26 p 145-145)

2004年9月、郡山市内の保育所において腸管出血性大腸菌O26による幼児と家族15名の集団感染が発生したので、概要を報告する。

9月7日(火)に市内の医療機関から2歳の公立保育所男児1名の大腸菌O26 VT1産生株による腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症発生届が保健所に提出された。同日から当該男児とその家族の疫学調査および便検査を実施、また、保育所を主管する児童家庭課とともに保育所の幼児等接触者調査を行ったところ、届出のあった男児の家族6名中4名からO26 VT1が検出された。また、保育所の幼児6名が下痢等の症状を訴えていたため、全保育所幼児および職員について便検査を実施した。また、保育所の給食、教室、トイレ、遊具等を調査、保存されていた給食102件、教室、トイレ、遊具等のふきとり39件の検査を実施した。さらに、初発児の家庭の井戸水、堆肥等についても検査を実施した。

その結果をに示すが、便検査では初発の幼児を含む92名中8名からO26 VT1が検出され、その家族36名中7名からO26 VT1が検出された。また、給食、ふきとり、井戸水、堆肥からは、検出されなかった。なお、保育所幼児の発生状況は1・2歳児のクラス12名中4名、2・3歳児のクラス15名中1名、3歳児のクラス16名中1名、4・5歳児のクラス29名中2名であった。

分離されたEHEC O26 VT1産生株15株について福島県衛生研究所へパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)による解析を依頼したところ、に示すとおりすべての菌株が同一のパターンを示し、単一のクローンによる感染と考えられるが、感染経路の特定にはいたらなかった。

お忙しい中、快くPFGEによる解析を実施してくださった福島県衛生研究所微生物グループ細菌担当の皆様方にはこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

郡山市保健所・地域保健課
       検査課

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