埼玉県におけるA/H1N1型インフルエンザウイルスの分離
(Vol.26 p 16-16)

埼玉県におけるA/H1N1型インフルエンザウイルスの分離について、以下に概要を報告する。

患者は39歳男性で、海外渡航歴、ワクチン接種歴はともに無い。2004年12月8日に発症、39℃の発熱があり翌日に医療機関を受診した。インフルエンザウイルス迅速診断キットにてインフルエンザA型陽性反応が認められたため、型別確認のため咽頭ぬぐい液が当所へ搬入された。

検体を接種したMDCK細胞は2日後に明瞭なCPEを呈し、0.5%七面鳥赤血球に対する培養上清のHA価は128に達した。感染研インフルエンザ室から配布された2004/05シーズン用HIキットを用いて、HI試験を実施したところ、A/Moscow/13/98(ホモ価1,280)に対して40、A/New Caledonia/20/99(同160)に対して320のHI価を示した。A/Wyomimg/03/2003(同2,560)、B/Brisbane/32/2002(同1,280)、B/Johannesburg/5/99(同2,560)に対しては、<10であった。また、RT-PCRによりNAの型別を試み、N1の増幅サイズのバンドを認めたので、分離ウイルスをH1N1であると判定した。

AH1型ウイルスの流行は、2002/03および2003/04シーズンには認められておらず、全国のウイルス分離数は、2002/03シーズンは1株、2003/04シーズンは本県分離2株を含めて5株が分離されたのみであった(感染症情報センター・IASRホームページ、2004年10月7日現在)。しかし、2004/05シーズンに入り、すでに岡山県および宮城県において合計9株が分離されており(感染症情報センター・IASRホームページ、2004年12月15日現在)、AH1型ウイルスが今シーズンにどのような動きをするのか、その動向に注意が必要である。

埼玉県衛生研究所ウイルス担当
島田慎一 篠原美千代 内田和江 瀬川由加里 土井りえ 菊池好則

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