Salmonella Haifa食中毒による死亡事例−長崎市

(Vol.26 p 19-20)

2004年9月、長崎市においてSalmonella Haifaによる家族内食中毒事例が発生し78歳の男性が死亡した。死亡した患者は、9月29日の午後7時頃下痢症状を呈し、翌朝には悪寒を訴えたので家族が検温すると38.7℃の発熱であったため、自宅近くの医院の往診を受けた。10月1日深夜になって、症状が急変したため長崎市内の病院に救急車により搬送され、その後、敗血症ショックと思われる症状で危篤状態となり、10月2日急性腎不全により死亡した。また、同居家族のうち1歳の孫が、9月30日の午後9時頃に発熱(38.8℃)があり、さらに10月1日の午後6時頃には水様性の下痢症状を呈したため、長崎市内の医院を受診している。

菌の検索については、往診時に採取された便よりサルモネラO4群が民間検査機関で分離され、当試験所でH型別試験および確認検査を行った結果、S . Haifaと同定した。また、1歳の孫についても、当試験所で便培養を行ったところ、患者と同一のS . Haifaを検出した。

原因食品については、孫からも患者と同じS . Haifaが検出されていること、孫も患者と同じ食品を摂取していることなどから、同一の食品が原因の食中毒であろうと推定されるが、特定はできていない。

また、検出されたS . Haifa 2株について、薬剤感受性試験およびパスルフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)を実施した。薬剤感受性試験は長崎市立病院成人病センターで実施され、ABPC・PIPC・CEZ・CTX・CPZ・AZT・IPM・GM・MINO・ST・OFLX・CP・FOMのすべてに感受性を示した。PFGEはXba IとBln Iの2種類の制限酵素を使用して、200V 2.2〜63.8sec泳動時間19hrsの条件で長崎県衛生公害研究所が実施、結果は、のとおり両株とも同じパターンを示し、同一感染源によることが確認された。

最後に、今回薬剤感受性試験をしていただいた長崎市立病院成人病センター、およびPFGEをしていただいた長崎県衛生公害研究所の各担当者の方に深謝いたします。

長崎市保健環境試験所細菌血清検査係
海部春樹 東根秀明 飯田國洋 植木信介 江原裕子

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