HIV/AIDSの世界的な流行の状況、2004年

(Vol.26 p 21-21)

WHOとUNAIDSの見積もりでは、2004年末時点でのHIV/AIDS感染者の総数は3,940万人(3,590〜4,430万)であり、全世界で15〜49歳の人口の約1%がHIVに感染している計算になる。

HIV/AIDS感染者数は1990年以来徐々に増加しているが、1990年代後半からペースが遅くなってきている。2004年では新規感染者数は約500万人で、そのうち70万人が15歳未満であった。2004年におけるHIV/AIDSでの死亡者数は約300万人であり、HIV感染者のほとんどは低所得の国に暮らしている。HIV/AIDSはサハラ以南アフリカでは死因の第1位であり、世界的には死因の第4位に挙げられている。開発途上国では抗レトロウイルス療法(ART)が十分行われていないため、死亡者数は過去5年間で増加し続けている。

地域的傾向

サハラ以南アフリカ:世界のHIV/AIDS感染者の3分の2(65%)、女性に限ると4分の3(76%)はサハラ以南アフリカである。HIV/AIDS罹患率が低下する兆しはまだ見られない。

西アフリカ地域:HIV/AIDS感染者数はほとんどの西アフリカの国では横ばいで、1997〜2002年での出生前ケアクリニックにおける女性のHIV感染率は、平均3〜4%である。感染伝播には、商業的性労働者が大きく関係している。

東アフリカ地域:HIV感染率は下がり続けている。1997〜2002年での出生前ケアクリニックにおける女性のHIV感染率は、12.9%から8.5%に低下した。

アジア地域:最新の推計では、現在約820万人(230万人が成人女性)のHIV/AIDS感染者があり、昨年1年間での新規感染者は120万人と見込まれている。2004年では約54万人が死亡し、15〜24歳の年齢層では女性の0.3%、男性の0.4%が感染者である。

ラテンアメリカ地域とカリブ海諸国:ラテンアメリカ地域ではHIV/AIDS感染者数は170万人以上である。2004年の死亡者数は9万5千人で、新規感染者数は24万人である。15〜24歳の年齢層では女性の約0.5%、および男性の0.8%が感染者と推定される。カリブ海諸国ではHIV/AIDS感染者数は44万人以上である。2004年での新規感染者数は5万3千人で、死亡者数は3万6千人である。15〜24歳の年齢層では女性の約3.1%、男性の1.7%が感染者である。

東ヨーロッパと中央アジア地域:2年前に比べて HIV/AIDS感染者数は増加している。東アジア地域ではほぼ50%、東ヨーロッパ地域と中央アジア地域では40%の増加であるが、ウクライナとロシアでの増加が多くを占める。この地域では感染者数は約 140万人に達する。2004年での新規感染者数は約21万人で、死亡者数は約6万人である。15〜24歳の年齢層では女性の約0.8%、男性の1.7%が感染者である。

北アフリカと中東地域:HIV/AIDS感染者数は54万人である。2004年での新規感染者は9万2千人で、死亡者数は約2万8千人である。15〜24歳の年齢層では女性の約0.3%、男性の0.1%が感染者である。

先進国:北アメリカと西ヨーロッパ、中央ヨーロッパではHIV/AIDS感染者は110万〜220万人であり、2004年での新規感染者数は約6万4千人である。15〜24歳の年齢層では女性の約0.1%、男性の0.2%が感染者である。2004年での死亡者数は1万5千〜3万2千人である。

結論:HIV/AIDS感染者数はすべての地域で増加している。特に東アジア、東ヨーロッパ、中央アジアで著しい。問題が最も大きいのはサハラ以南アフリカ地域である。

(WHO, WER, 79, No.50, 441-449, 2004)

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