2004年11月の集団発生からのB型インフルエンザウイルスの分離−兵庫県

(Vol.25 p 336-337)

日本海側山間の和田山保健所管内で集団発生があった。小学校1年生25人中14人がかぜ症状で、うち8名が欠席し、11月10日午後〜12日まで学年閉鎖された。11月11日に欠席者のうち7名から咽頭スワブが採取された。発病は11月5日〜8日、主症状は、咳と38.3〜40.2℃の発熱で、下痢または嘔吐を伴う胃腸炎症状が5人、筋肉関節痛あるいは頭痛を3人が訴えた。

MDCK細胞初代で1株がニワトリ血球にHA価32倍(モルモット血球には16倍)を認め、2代継代でこの株を含む4株が、ニワトリ血球に256倍〜1,024倍のHA価を示した。分離された4株を2004/05シーズン用に国立感染症研究所から配布された抗血清で同定した。いずれのウイルスも、AH1型のA/Moscow/13/98、A/New Caledonia/20/99、AH3型のA/Wyoming/03/2003およびBビクトリア系統のB/Brisbane/32/2002(ホモHI価 320)に対する抗血清には反応せず、B山形系統のB/Johannesburg/5/99(ホモHI価 1,280)に320または640倍のHI価を示した。ちなみに、昨シーズンの2004年1月〜3月までに兵庫県で分離されたB型4株は、いずれも抗B/Johannesburg/5/99血清に反応するB山形系統であった。

スワブが採取された7名のうち2名は医療機関の迅速診断キットでB型と診断されていたが、検体採取時にはほぼ平熱に戻っていたこと、分離材料を用い、病原体検査マニュアルに従ったRT-PCRを試みたがウイルスは検出されなかったことから、早期の検体採取と、咽頭スワブを採取する際、綿棒の先を滅菌生理食塩水等で一度湿らせて少し力を入れて採取することなどによって、さらに検出感度を上げることができると期待される。

兵庫県立健康環境科学研究センター感染症部 山岡政興 押部智宏
和田山健康福祉事務所 柏木 航 砂原 惠 佐野静子 村上政江 柳川拓三
兵庫県健康生活部疾病対策課 古田博巳 稲田忠明

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