扁桃の研究による変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染者数の推定−英国


(Vol.25 p 213-213)

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の潜伏期にある感染者数を推定したイギリスの研究結果が、Journal of Pathologyに掲載された。この疾患の特徴は、末梢リンパ組織、特に扁桃に異常プリオン蛋白が分布していることで、医療行為による感染の際には発症前に検出される可能性がある。イギリス国内の組織病理学の研究室から集められた扁桃と虫垂、計12,674検体について、免疫組織化学法を用いて異常プリオン蛋白の検出が試みられた。その結果、3検体が陽性を示したことから、イギリス全体で3,800人がvCJDの潜伏期にあると推定された。

英国保健省と医学研究審議会運営部局は、より詳細な調査が必要であると提言し、保健防護局(Health Protection Agency)は最近、通常の手術により摘出、保存された扁桃組織10万検体を集める事業を開始した。集められた検体は、匿名化後に異常プリオン蛋白の存在について検査され、より正確な感染者数が推定されることとなる。今後の対策に役立てるべく、全国匿名扁桃データベース(National Anonymous Tonsil Archive)が扁桃摘出後の扁桃組織を全年齢にわたり収集している。

(CDSC CDR Weekly, 14, No.24, 2004)

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