東南アジア地域(SEAR)での麻疹による死亡の減少に関する進捗、1999〜2002年


(Vol.25 p 211-211)

WHOの試算では、麻疹による死亡率は1999年から2000年には世界全体では29%減っているが、東南アジア地域事務局(SEAR)管内では19%の減少であった。同地域では、既に取り組みが開始されていたスリランカ、およびタイ以外の国々では、全国的な麻疹患者の特徴や死亡に関する情報収集は2001年より開始され、2002年にはWHOの支援により、国家間の麻疹ラボネットワークが確立された。

SEAR地域で報告された麻疹は、1989年の440,000人から1997年の114,000人、1999年の45,000人へと減少したものの、インド、インドネシア、およびタイでの増加をうけて、2002年には88,000人に増加した。また、全国規模のアウトブレ−クも複数の国で見られた。麻疹症例は幅広い年齢に分布していたが、モルジブ、スリランカ、タイを除く国々では10歳未満が大多数であった。WHOは麻疹ワクチン接種率および致死率のデータより、この地域における麻疹の死亡を243,000人(1999年)〜196,000人(2002年)と推定している。

SEAR地域のすべての国では定期接種として、9カ月児に対する麻疹含有ワクチンの少なくとも1回接種(MCV1)を行っている(スリランカとタイは2回接種)。報告に基づくSEAR地域での平均的なMCV1接種率は、1990年代に85%以上であったが、WHO/UNICEFの推定では1999年は58%、2002年は70%であった。

補足的ワクチン接種活動(SIAs)としては、全国規模で行われた例(北朝鮮:9〜23カ月、ブータン:9カ月〜15歳など)や、リスクの高い地域やグループを対象に行われた例(インド、バングラデシュなど)があった。

(WHO, WER, 79, No.26, 241-244, 2004)

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