東南アジアと西太平洋地域における、デングネット実施に向けてのWHO/WPRO/SEARO合同会議(クアラルンプール、2003年12月11〜13日)


(Vol.25 p 105-105)

デング熱、デング出血熱の流行はいまや世界的な公衆衛生上の問題である。デングウイルスは約25億人が生活する地域に存在し、5,000万人/年の患者を出している。そのうち、約50万人/年がデング出血熱であり、子供を中心として22,000人/年が死亡している。

デングネットはウェブ上で疫学的、ウイルス学的データをタイムリーに収集・解析するシステムで、新しいデータが入力されるとすぐにデング熱に関する疫学的傾向を示すことができる。デングネット設立の目的は、集団発生の可能性や、まだ流行していない地域での発生をいち早く察知して情報を還元すること、デング熱やデング出血熱のサーベイランスを標準化して強化すること、臨床的な症例定義とサーベイランスの症例定義を統一すること、実験施設間のネットワークの強化、報告される実験データの質の統一、疫学調査と解析のための標準化されたデータの供給、流行地域とそれに隣接する地域間のタイムリーな疫学的情報交換、などがあげられる。

2002年7月にプエルトリコで1回目の会議が行われ、その結果、WHO/PAHO/米国CDCを中心に、アメリカ諸国でパイロット的にデングネットの使用が試みられた。今回は第2回の会議であり、アメリカ諸国での経験を踏まえた上でネットワークのシステムなどを改善し、さらにパイロット的使用範囲の拡大を図るものである。

会議では、ウイルス学関係と疫学関係の二つの専門調査委員会を作り、それぞれ提言を出した。ウイルス学関係専門調査委員会からは、実験の質の統一、WHOと共同研究する委託機関によるレファレンスサービス、技術者の教育に関することなどの提言がなされた。疫学関係の専門調査委員会からは、サーベイランスデータの収集や入力、発生率・死亡率の計算方法に関することなどについて提言がなされた。

このネットワークは今後も改善を重ね、世界的に標準化されたサーベイランスシステムに発展していく予定である。

(WHO, WER, 79, No.6, 57-62, 2004)

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