血液から百日咳菌が分離された百日咳の死亡例、2003年−米国・ミネソタ州


(Vol.25 p 104-104)

2003年2月に、多発性骨髄腫に対して免疫抑制剤を処方されている女性(82歳)が死亡した。入院中に菌培養検査を実施したが、検査室で通常用いられている培地では百日咳菌を分離することはできなかった。しかし、患者の死亡後、百日咳菌専用培地を用いて検査したところ、血液検体から百日咳菌が分離された。血液検体から百日咳菌が分離されることは稀であり、米国では2例目である。

この患者は高等看護学校に勤務する娘と生活をともにしており、娘も百日咳様の発作性の咳を呈していた。感染経路は不明であるが、この患者と接触した家族、および医療従事者に対する百日咳感染の疫学調査を実施した。その結果、患者家族17名中2名が咳をする病気に罹り、そのうち1名から百日咳菌が分離された。また、患者と接触した29名の医療従事者のうち10名が咳をする病気に罹り、1名から百日咳菌が分離された。さらに、分離された百日咳菌のパルスフィールド・ゲル電気泳動解析により、患者と2名の接触者とに疫学的関連のあることが確認された。

百日咳はワクチン未接種の乳幼児にとっては致死率の高い感染症であり、近年、青少年層と成人が百日咳菌を保菌することにより、乳幼児に対する感染源となっている可能性が指摘されている。成人で咳がみられる場合、百日咳を疑い、必要な検査を行うことが勧められる。

(CDC, MMWR, 53, No.6, 131-132, 2004)

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