幼稚園で発生したノロウイルスによる集団胃腸炎事例−滋賀県

(Vol.25 p 78-78)

2003年10月に県内の幼稚園においてノロウイルスによる集団胃腸炎が発生したので、その概要について報告する。

当該幼稚園には、園児188名、職員16名、合計204名が在籍している。10月29日に、年少組在籍者60名中20名が嘔吐、下痢を発症して欠席したため、年少組が10月31日まで学級閉鎖となった。10月29日〜30日における他の学年の有症者数は、年中組在籍者65名中8名、年長組在籍者63名中4名であり、有症者は年少組に集中していた。

10月30日〜31日にかけて、有症者5名および無症状者1名から糞便を採取し、SR系プライマー(Andoら、J. Clin. Microbiol., 33, 1995)を用いてRT-PCRを行い、得られたPCR産物に対し、サザンブロット・ハイブリダイゼーションを行ったところ、有症者5名からP2B型(genogroup II)のノロウイルス遺伝子が検出された。また、同時に細菌検査も行われたが、下痢起因菌は検出されなかった。このため、当該幼稚園における集団胃腸炎は、ノロウイルスが原因と判断された。

当該幼稚園では、給食等の共通食は提供していないため、当事例は食中毒とは考えられなかった。また、感染経路の特定はできなかったが、有症者がある学年に集中していることから、園児間の感染が疑われた。

新規の発症者は10月31日にはみられなくなったが、保健所の調査以前に、既に園内で嘔吐・下痢をした園児が数名いたことから、園内での流行が遷延することが懸念された。その後の新規発症者は、11月1日には1名であったが、2日には8名となり、初発学年とは異なる学年を中心として11月5日には2回目のピークが認められた(図1)。この要因として、既に園内でウイルスが散布されていたことと合わせて、家族内発症がみられていたため、家庭内での感染経路の遮断が不十分であったことが考えられた。そのため、保護者向けに感染予防対策を徹底するよう求める通知文を、再度園から出していただいた。また、園に対する保健指導も再度行った。園では11月6日から、年中組の学級閉鎖を行った。

その後は新規発症者数は減少し、11月7日を最後にみられなくなった。園から保健所への健康観察の報告は11月10日で終了とし、集団胃腸炎に関する観察期間も11月30日をもって終了した。

滋賀県立衛生環境センター 吉田智子 大内好美 川端彰範 林 賢一
滋賀県大津健康福祉センター 中村良平 尾本由美子 辻橋幹恵

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