成田空港検疫所において診断されたデング熱症例(感染症法施行後)

(Vol.25 p 29-30)

成田空港検疫所におけるデング熱の検査は、国立感染症研究所の海外旅行者に対する感染の実態調査の協力として、1998(平成10)年から検疫時にデング熱が疑われる旅行者に対し、本調査の主旨を理解して検査を希望する者から検体を採取し、行ってきた。また、2003(平成15)年11月5日からは、新たに感染症法および検疫法が改正され、デング熱は検疫感染症となり、検疫法第13条において検疫時に流行地域から帰国し、症状のある者に対して診察および病原体の検査を行えるようになった。

成田空港検疫所では、デングウイルス特異的抗体は簡易キット(rapid immunochromatographic test :PanBio)、IgM-capture ELISA(FOCUS)、デングウイルス特異的遺伝子はRT-PCRで検査を実施し、確定検査は国立感染症研究所で行ってきた。

1999年〜2003年10月までの5年間の検査実施状況を表1に示した。検査は381名実施し、そのうち48名(13%)がデングウイルスに感染していた。その内訳は、RT-PCR法における遺伝子検査でデングウイルス特異的遺伝子を11名から検出、デングウイルス特異的抗体を37名から検出した。デング熱感染者の推定感染国を表2に示した。東南アジアが29名(60%)、南アジアが9名(19%)、中南米が7名(15%)の順であった。性別でみると男が31名(65%)、女が17名(35%)であった。年代別でみると20代が最も多く28名(58%)、次いで30代が9名(19%)、40代が4名(8.3%)であった。

今般の検疫法改正の約1週間後には、カナダ在住のインド国籍の旅行者が、インドから成田空港経由でカナダへ帰国する途中に当空港で発熱、頭痛の症状を訴えたため、検査を実施したところ、RT-PCRによりデングウイルス遺伝子を検出した。さらに、検体を国立感染症研究所および横浜検疫所輸入食品・検疫検査センターに送付したところ、デング1型と判定された。

今回の法改正により、調査・研究という位置づけではなく、法的に診察および検査が実施でき、また、今まで検査を行っていなかった全国の検疫所で実施するようになるため、デング熱に関するさらなる感染の実態把握および予防対策が推進できるものと考える。

成田空港検疫所検査課 高橋正樹

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