青ネギ関連のA型肝炎の集団発生、2003年−米国・ペンシルバニア州


(Vol.25 p 14-15)

ペンシルバニア州のモニカにあるレストランAを利用した人たちの中でA型肝炎が集団発生し、それに対する調査が行われた。2003年11月20日までに約555症例(13人の従業員も含む)が確認され、そのうち3例が死亡した。また、3症例から得られたウイルスRNAの340ヌクレオチド領域の解析により、これら3症例での遺伝子配列は同一であることが判明した。

発症の2〜6週間前である9月14日〜10月17日の間にレストランAで食事をし、10月14日〜11月12日の間に発症した207症例の中で、181症例(87%)が10月3〜6日の間にレストランAで食事をしていた。従業員症例の発症日は10月26日以降であったので、従業員は感染源になりえないと思われる。しかし、10月下旬〜11月上旬、従業員症例は感染性があったと思われる時期に就業していた。レストランAで食事をした人や曝露した可能性のある9,000人に免疫グロブリン製剤が投与され、レストランは閉鎖した。

感染源になった食品を特定するため、症例対照研究が行われた。症例は、10月14日〜11月12日の間に発症し、検査診断でA型肝炎感染が確定され、10月3〜6日にレストランAで食事をした人と定義された。対照は、同時期にレストランAで食事をした健康な人と定義された。181人の症例と83人の対照が選ばれ、chili con queso(OR=24.2)とmild salsa(OR=5.2)がA型肝炎感染と統計学的に有意な関連性が示された。2つのメニューには、十分に加熱されていない青ネギが含まれていた。

レストランAでは、メキシコから輸入された青ネギは、納入された後5日以内に洗浄されて刻まれており、刻まれた青ネギは約2日間冷凍保存されていた。

青ネギは、配送、栽培、出荷、貯蔵などの過程でA型肝炎ウイルスに汚染されたと考えられる。さかのぼり調査で、メキシコの複数の農場から出荷されたことが確認された。

(CDC, MMWR, 52, No.47, 1155-1157, 2003)

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