A群コクサッキーウイルス24型変異株の分離−熊本市
(Vol.24 p 295-296)

2003年7月に熊本市東部地区の眼科定点(患者定点)から、 近在の保育園、 小・中学校に通う生徒およびその保護者の間にエンテロウイルスが原因と思われる結膜炎の流行がみられるため、 ウイルス分離を行って欲しいとの依頼が保健所にあった。これを受けて、 第29週(7/14〜7/20)〜第31週(7/28〜8/3)に採取された10検体(10症例)の結膜ぬぐい液についてウイルス分離を試みたところ、 A群コクサッキーウイルス24型変異株(CA24v)が4株(4症例)、 アデノウイルス37型が2株(2症例)分離された。医師のコメントによると、 患者の症状は主に結膜炎、 耳前リンパ節の腫脹であり、 結膜下出血のみられる例もあったが、 3日程度で軽快したとのことであった。なお、 患者の海外渡航歴については不明である。

ウイルス分離には、 Vero、 HEp-2およびRD細胞を用いた。分離されたCA24vは4株ともRD細胞で細胞変性効果(CPE)を示し、 うち3株はHEp-2細胞でもCPEが観察された。同定は、 国立感染症研究所分与のCA24v抗血清を用いた中和試験で行った。アデノウイルス37型は2株ともHEp-2細胞でCPEを示し、 デンカ生研製の抗血清による中和試験で同定した。

今回の流行は夏休み直前ということもあり、 短期間(3週間程度)で終息した。それ以降の発生は見られていない。病原微生物検出情報のウイルス検出状況・集計表(1982年〜2002年、 http://idsc.nih.go.jp/iasr/virus/graph/ent82001.gif )によると、 今回のCA24vの分離報告は1998年(2例)以来の報告となるようである。

熊本市環境総合研究所 新屋拓郎 松岡由美子 丸住美都里 藤井幸三
熊本市感染症対策課  藪内文明 中澤由美
越山眼科医院     越山英夫

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