咽頭結膜熱の発生状況およびアデノウイルス3型の分離状況−福岡市
(Vol.24 p 225-225)

福岡市では、 2003年5月(第19週)から定点当たりの咽頭結膜熱の患者数が増加し始め、 第27週に定点当たり1.29人とピークを迎えた。その後も定点当たり1.0人前後の高い値で推移している(図1)。昨年の同時期の報告数と比較すると大きな流行であり(図2)、 今後の発生状況に注意が必要である。

2003年4月〜6月の間に感染症発生動向調査事業で搬入された咽頭結膜熱(4例)、 ヘルパンギーナ(1例)、 急性上気道炎(1例)の患者検体からアデノウイルス3型(Ad3)を6株分離した。Ad3が分離された6検体のうち5検体が咽頭ぬぐい液、 1検体が咽頭うがい液であり、 これらの患者は1歳(3例)、 2歳(1例)、 4歳(1例)、 6歳(1例)の乳幼児に限られていた。

ウイルス分離はRD-18S、 HEp-2、 Vero、 CaCo-2を用いて行い、 6株すべてがHep-2およびCaCo-2で分離された。ウイルス同定はデンカ生研の中和抗血清を用いた中和試験で行った。

福岡市でのAd3の分離は、 昨年の2株に対し、 本年はすでに6株と、 分離数が多くなっていることから、 咽頭結膜熱と併せてその動向に注意が必要である。

福岡市保健環境研究所 山崎俊治 若月紀代子 真鍋和義

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