エコーウイルス9型の流行期間中に侵淫が確認されたエコーウイルス30型の分離状況−香川県
(Vol.24 p 223-223)

エコーウイルス9型(E9)の流行期間中の2003年7月に、 エコーウイルス30型(E30)による無菌性髄膜炎が確認された。しかし、 E30の分離例は、 小豆・西讃の一部地域に限局しており、 現在は県下全域への波及はみられない。このE30の流行は、 1989年(分離例54例)、 1991/92流行年(同126例)、 1997/98流行年(同346例)に確認されており、 E9は1994年(分離例79例)以来の流行となった。

E30は、 7月2日採取の無菌性髄膜炎患者からの初分離以降、 8例(分離数9株)が分離され()、 検体の由来はすべて髄液であった。男女別は男児5例、 女児3例で、 臨床診断名は、 男児は無菌性髄膜炎4例、 脊髄炎1例、 女児の3例はすべて無菌性髄膜炎からであった。年齢は、 男児は0、 6、 7、 8、 14歳各1例、 女児は0歳2例、 5歳1例であった。

また、 E9は、 2003年4月25日採取の無菌性髄膜炎患者からの初分離以降、 46例(分離数49株)が分離され()、 検体の由来は髄液46株、 咽頭ぬぐい液3株であった。男女比は男児24例、 女児22例でほぼ同数で、 臨床診断名は、 男児は無菌性髄膜炎22例、 髄膜脳炎、不明熱各1例、 女児は無菌性髄膜炎20例、 不明熱、無熱性痙攣各1例と、男女ともに無菌性髄膜炎からの分離例が大部分を占めた。年齢は、 男児は0歳6例、 女児は5歳8例、 6歳5例からの分離例が多く、 男女間で差がみられた。

E30の県内での動向は、 1991/92、 1997/98流行年はいずれも7月に侵淫がみられ、 引き続いて冬季流行を示し、 翌年の夏季に流行が拡大する傾向を示しており、 前回流行より5年を経過していることから、 今後の動向を注視したい。

ウイルス分離は、 RD-18S、 FL、 Vero細胞を使用し、 感受性を示したのはRD-18S細胞で、 接種初代で高い感染価が得られた。同定は市販エンテロウイルス混合抗血清、 単味抗血清およびエコープール抗血清(EP95)を用い、 いずれの抗血清も良好な成績が得られた。

香川県環境保健研究センター 三木一男 亀山妙子 山西重機

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