無菌性髄膜炎患者からのエコーウイルス30型の分離状況 2003年−滋賀県
(Vol.24 p 221-222)

2003年6月に検体を採取した無菌性髄膜炎患者34名中13名から、 エコーウイルス30型(E30)が分離された。分離された患者の性別は男8名、 女5名、 年齢分布は3歳から13歳までで、 6歳が5名と最も多かった。34名の髄膜炎以外の主な症状は、 嘔吐(4名)、 頭痛(4名)、 下痢(1名)および頚部硬直(1名)であった。最高体温は37.5℃〜39.4℃に分布し、 平均は38.5℃であった。

E30の材料別分離数は、 髄液33件中11件、 咽頭ぬぐい液16件中6件および糞便16件中6件であった。

ウイルス分離はRD-18S、 HeLa、 Vero-E6、 FLの各細胞を用いて行ったところ、 RD-18S細胞が最も高い感受性を示した。

ウイルスの同定は中和反応により行った。中和血清として、 EP95(感染研分与血清)およびE30単味血清(デンカ生研製血清および感染研分与血清)を用いた。EP95ではすべての株が良好に中和された。さらに確認のため、 デンカ生研製単味血清で中和を行ったところ、 中和できない株があったため、 感染研分与血清を用いたところ、 それらの株も良好に中和できた。

滋賀県感染症発生動向調査における無菌性髄膜炎の定点当たり患者数は2003年第23週に0.57人/定点を示し、 第26週に0人/定点となったが、 再び急増し、第28週に0.86人/定点とピークを示し、 以降減少している(第31週現在)。

また、 2003年4月〜8月に発症した無菌性髄膜炎患者で、 当所に検体が搬入された調査対象患者数をに示す。これらの患者からは、 6月に分離されたE30以外では、 5月にB群コクサッキーウイルス1型が1株分離されている。

E30は、 滋賀県では1983年、 1990〜1991年および1997〜1998年に多く分離されており、 5〜8年周期で流行をおこしていると考えられることから、 2003年においてもE30の流行が懸念される。

滋賀県立衛生環境センター
大内好美 吉田智子 川端彰範 吉田とも江 林賢一

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