無菌性髄膜炎患者からのエコーウイルス30型の分離−高知県
(Vol.24 p 223-223)

2003年7月初めから末にかけて検査定点から27名の無菌性髄膜炎患者検体が搬入され、 19名(男16名、 女3名)からエコーウイルス30型(E30)が、 1名(男性)からエコーウイルス6型が、 1名(女性)からエンテロウイルス71型が分離同定された。

E30が分離された患者の年齢構成は、 2歳1名、 4歳6名、 5歳4名、 6歳1名、 7歳2名、 8歳3名、 9歳1名、 10歳1名であった。

ウイルス分離にはRD-18S、 LLC-MK、 Vero、 HeLaおよびFL細胞を用いたが、 RD-18S細胞が最も感受性が良かった。中和試験は、 国立感染症研究所から分与されたエコーウイルスプール抗血清(EP95)および単味抗血清、 デンカ生研製エンテロウイルス単味抗血清を用いて行った。分離材料別分離率は髄液3/6(50%)、 咽頭ぬぐい液19/25(76%)であった。

本県では昨年エコーウイルス9型と13型による無菌性髄膜炎が流行したが、 昨年と比較すると症状は軽く、 入院した場合でも1日の入院にとどまっており、 数日の入院を必要とする患者はあまりみられていない。しかし、 大部分は激しい頭痛と嘔吐を伴っており、 また、 家族内での感染が多く、 大人も多数感染している様子である。

県下におけるE30の流行は1991年と1998年にみられている。前回の流行から5年経過しており、 この間、 県下ではほとんど同型ウイルスは分離されておらず、 低年齢層ではほとんど抗体を保有していないと思われる。8月に入っても検体の搬入が続いており、 今後の動向が注目される。

高知県衛生研究所
千屋誠造 永安聖二 刈谷陽子 小松照子 大野賢次 上岡英和
吉本小児科皮膚科 吉本辰雄

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