無菌性髄膜炎およびヘルパンギーナ患者からのウイルス検出状況、 2003年− 大阪府

(Vol.24 p 190-190)

大阪府下において2003年4月1日以降6月30日現在までに、 感染症発生動向調査事業における検査定点から搬入されたウイルス分離用検体は、 無菌性髄膜炎患者由来が81検体、 ヘルパンギーナ患者由来が67検体あった。無菌性髄膜炎患者は6月以降急増し、 患者は大阪府全域でみられている。年齢別では0歳児および5〜6歳児にほぼ集中している。またヘルパンギーナ患者は4歳以下に多い傾向がみられる。

ウイルスの検出はRD-18SおよびVero細胞による分離、 およびObersteらが設計したプライマーを用いたVP1領域のRT-PCRによるエンテロウイルス遺伝子検出を併用して行っている。また、 ウイルス型同定はNCBI Blastを利用したホモロジー検索で行った。

これまで無菌性髄膜炎およびヘルパンギーナの各々43検体についてウイルス分離(検査中を含む)およびRT-PCRを行い、 のように無菌性髄膜炎からはMumps、 Echo 6およびEcho 30が検出され、 またヘルパンギーナからはA群コクサッキーウイルス(CA)2型、 CA6およびCA10が検出された。

大阪府では1991年とその6年後である1997年にEcho 30が大流行しており、 2003年には再びEcho 30が流行することが予想される。Echo 6は昨年から散発的に検出が続いている。また、 昨年大流行したEcho 13は1株も検出されておらず、 流行は終息したと考えられた。

標準抗血清で中和され難かった分離株(Echo 6、 Echo 11等)においても、 塩基配列を基にした型同定ではすべて1血清型にのみ80%以上のホモロジーを保有しており、 難中和株の同定にはシークエンシングが有用であった。さらにウイルス検出情報の迅速な還元にも役立つと思われる。

大阪府立公衆衛生研究所 山崎謙治 左近直美 宮川広実 大竹 徹

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