フルオロキノロン耐性Salmonella Typhimurium

(Vol.24 p 181-181)

フルオロキノロン(いわゆるニューキノロン)耐性Salmonella Typhimurium感染例は2000年9月に初めて確認された。その後現在までに、 2001年に3例、 2002年に3例、 2003年に1例から同様の耐性株が分離されている(2002年の1例および2003年の1例は次の記事を参照)。最初の1例は大阪で分離されたが、 あとはすべて関東で分離されている。

分離菌株について、 薬剤感受性試験をディスク(KB)法で行うと、 ABPC・CP・SM・TC・サルファ剤・NAおよびCPFXに耐性を示すものが4例、 ABPC・CP・SM・TC・ST(サルファ剤およびトリメトプリム)・GM・NAおよびCPFXに耐性を示すものが4例となっている。ファージ型は、 DT12が5例、 DT193が3例である。キノロン耐性に関与しているとされているgyrA およびparC 遺伝子のキノロン耐性決定領域に関しては、 いずれも同様の変異が同定されている(GyrA:83番目のセリンがフェニルアラニンに、 87番目のアスパラギン酸がアスパラギンに、 ParC:80番目のセリンがアルギニンに置換)。パルスフィールド・ゲル電気泳動のパターンに関しては、 いずれもに示すものとほぼ同様の泳動パターンを示している。

患者の平均年齢は4歳、 5例が女性であった。いずれも散発事例で、 感染源の特定には至っていない。

文 献
中矢秀雄、 他、 感染症学雑誌 75: 815-818、 2001

国立感染症研究所・細菌第一部
泉谷秀昌 寺嶋 淳 田村和満 渡辺治雄

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