手足口病患者からのエンテロウイルス71型の分離−香川県
(Vol.24 p 159-160)

今シーズン第21週〜第25週にかけて、 定点病院で手足口病と診断された患者の咽頭ぬぐい液11検体からエンテロウイルス71型(EV71)が11株分離同定された。

患者を年齢別にみると、 2歳児5名、 3歳児1名、 4歳児4名、 5歳児1名で、 5歳以下に集中した。その性差は、 男児7名、 女児4名であった。

また、 臨床症状では、 水疱性口内炎、 水疱性丘疹が中心で、 発熱(37.1℃〜40.0℃)は4名にみられたが、 髄膜炎など重症化した症例はなかった。定点病院の担当医のコメントでは、 比較的軽症の患者が多く、 現在のところ髄膜炎・脳炎を併発した患者はいないが、 患者数は増加傾向にあり、 今後とも注目していく必要がある。

ウイルス分離は、 Vero細胞で高い感受性を示し、 4〜5日でCPEを観察することができ、 中和試験は、 島根県保健環境科学研究所より分与されたEV71抗血清を用い、 容易に中和された。

本県のEV71による手足口病の流行は、 最近では1997年、 2000年にみられ、 定点当たりの患者数から流行を比較すると、 1997年は第31週〜50週頃まで患者発生が報告され(年間定点当たり患者数27.2人)、 全国平均より遅く、 流行期にずれがみられた。2000年は第25週〜35週に流行し(年間定点当たり患者数61.5人)、 全国状況とほぼ一致した流行であった。

今シーズンの手足口病の流行は、 第21週からウイルスが分離され始め、 2000年シーズン同様の、 夏季を中心とした流行パターンをとるものと思われる。また、 県下の定点当たりの患者数においても、 第21週 0.7人、 第22週 0.7人、 第23週 1.1人、 第24週 1.5人、 第25週 3.4人と上昇の気配がみられ、 今後、 夏季の流行期にむけて十分な注意が必要と考える。

香川県環境保健研究センター 亀山妙子 三木一男 山西重機

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