アデノウイルスによる滲出性扁桃炎−兵庫県

(Vol.23 p 136-137)

兵庫県において、 2003年1月14日(検体採取日)〜4月15日までの約3カ月間に滲出性扁桃炎患者40名、 咽頭結膜熱患者8名およびヘルペス性口内炎患者1名の合計49名中46名(94%)の咽頭ぬぐい液からアデノウイルスが検出された。患者年齢は7カ月〜8歳(平均 3.8歳)で、 性別は男18名、 女28名であり、 住所は1市1郡、 すべて散発例として報告された。検出方法はPCR法+sequence法、 type specific PCR法、 抗原検出法(免疫クロマト法)を組み合わせ、 HEp-2細胞を用いてウイルス分離も実施した。その結果、 これらのいずれかで陽性のものを検出例とした(ほとんどが2つ以上の方法で陽性であった)。

滲出性扁桃炎患者40名のうち37名(93%)からアデノウイルスが検出され、 内訳は3型(24名:65%)、 2型(6名:16%)、 1型(3名:8%)で、 4名(11%)は未同定である。

また、咽頭結膜熱患者8名全員からはアデノウイルスが検出され、 3型(4名:50%)、 2型(2名:25%)および1型(1名:13%)と同定された。1名は型不明で検査継続中である。

これまで、 アデノウイルスが検出された患者は咽頭結膜熱患者が多かったが、 2003年に入って、 結膜炎を欠いた滲出性扁桃炎患者からアデノウイルスが検出された。ウイルス検査の結果から、 今回みられた滲出性扁桃炎は3型を中心としたアデノウイルスによるものであることが明らかになった。にアデノウイルス検出患者数の患者発生月を示した。

3型アデノウイルスの流行は頻繁に発生するが、 今回の報告は、 (1)集団発生でなく散発例が多い(ただし、 一部に同じ保育園、 兄弟姉妹のケースも見られる)、 (2)眼症状がない患者が多い、 という特徴をもっており、 年齢による診断名の偏りは見られない。なお、 本報告をまとめた2003年4月22日現在も滲出性扁桃炎患者の発生が継続している。

兵庫県立健康環境科学研究センター・感染症部 藤本嗣人 近平雅嗣
岡藤小児科医院 岡藤輝夫 岡藤隆夫

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