WHOの結核予防対策計画の年次報告書、 2003年

(Vol.24 p 115-115)

WHOの結核予防対策計画の2003年次報告書によると、 全世界で2001年には840万人の結核新規患者が報告され、 うち10%がヨーロッパ地域からの報告であった。世界全体で結核患者は毎年0.4%ずつ増加しており、 サハラ以南アフリカ地域と旧ソビエト連邦地域では著しい増加率を示している。サハラ以南アフリカ地域の結核感染拡大にはHIV感染と貧困が密接に関係しており、 旧ソビエト連邦地域では公衆衛生システムの崩壊が原因であると報告されている。

結核対策にDOTS(Direct Observed Treatment-Short course)が採用されている国は世界210カ国中155カ国にまで増加した。2001年末現在、 世界人口の61%がDOTSが採用されている地域に居住している。

2000年と比較して、 2001年に結核菌塗抹検査陽性として新たに報告された症例の67%はインドからである。ミャンマー、 フィリピン、 タイでは少しずつではあるが、 結核患者探索について改善傾向がみられる。他の結核蔓延国では、 パキスタン、 ブラジルなどではDOTS適応地域が著明に増加しているにもかかわらず、 症例探索において顕著な改善は見られていない。

WHOヨーロッパ地域では1999年現在、 22カ国中14カ国において人口の90%以上がDOTS適応地域に居住している。DOTSエリアは拡大しているが、 質に関しては向上の余地がある。DOTSの拡大を妨げていることとして、 スタッフの不足、 システムの地方分権化が不十分であること、 健康対策機構や政策が十分に機能していないこと、 などの理由が示唆されている。2000年のWHOヨーロッパ地域の結核に関する報告書(http://www.eurotb.org/)には、 ヨーロッパの51カ国中30カ国における1999年の結核症例に関する治療結果の報告が含まれている。

(Eurosurveillance Weekly、 7、 No.14、 2003)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp


ホームへ戻る