三日熱マラリアの国内感染、 2002年−米国

(Vol.24 p 68-69)

米国においては1970年にマラリアが完全に根絶されたにもかかわらず、 1992年以降米国に分布するマラリア媒介蚊がかかわった17症例のマラリア国内発生が10回起きている。2002年秋に北部バージニア州で報告された2症例は1999年以降米国で起こった最初のマラリアの国内感染例で、 バージニア州では2回目の流行である。これらの流行には以下の特徴、 1)マラリアに関する特別なリスク要因が認められない症例、 2)マラリア原虫を血中にもった患者との接触、 3)感受性のあるハマダラカの存在、 4)蚊の体内でのマラリア原虫の発育に適当な環境条件、 などがある。米国においては毎年約1,000〜1,500症例のマラリアがCDCに報告されており、 その大部分はマラリア流行地からの旅行者である。

バージニア州住民2名の感染経路はおそらく、 マラリア患者を吸血した蚊に刺されたことによると思われる。米国に分布する数種のハマダラカはマラリアに対して感受性を持っている。患者の住宅付近で採集されたAnopheles quadrimaculatus An. punctipennis の2種ハマダラカが上記の2症例にかかわっていたと思われる。これらのハマダラカのプールが、 マラリア原虫の有無を検出するVecTest TMによって調べられた。この方法は国際的な疫学調査では良く用いられているが、 米国内における調査では最初の試みである。調べられた約870匹のハマダラカから、 5つのマラリア原虫陽性プールが検出された。これは予期せぬ高率であり、 今までの米国内でのマラリア流行における調査では決して検出されていなかった。VecTest TMのような簡便で、 迅速なマラリア抗原検出キットは以前は利用できなかった。このキットは、 米国におけるマラリア流行調査において新しい方法であるので、 その有効性は未知であり、 PCR法を用いて確認すべきである。VecTestTMとPCR法を組み合わせてハマダラカのプールを調べる方法の開発が現在進められている。

(CDC、 MMWR、 51、 No.41、 921-923、 2002)

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