静注薬物使用者の間で流行したA型肝炎、 2002年−フィンランド

(Vol.24 p 68-68)

過去3年間、 フィンランドにおけるA型肝炎の報告は年間48〜51例(1.0/10万人/年)であったが、 2002年は385例(7.4/10万人/年)に増加した。症例の約70%はヘルシンキ周辺地区から報告され、 明らかな季節性はみられなかった。また、 男性症例が多く(男女比2:1)、 20代が全体の36%を占めていた。

集団発生の初期にヘルシンキで症例の聞き取り調査を実施したところ、 ほとんどすべてが静注薬物使用者かその関係者であった。集団発生の後半には、 一般人の症例も報告されるようになった。ヘルシンキ以外の保健行政地区からも小さな集団感染が報告されたが、 ほとんどの症例は静注薬物使用者であった。

2002年1〜3月にかけて濃厚接触者に対して、 免疫グロブリンあるいはA型肝炎ワクチンを接種した。2002年4月以降はヘルシンキの静注薬物使用者に対してワクチン接種キャンペーンを開始し、 4〜7月にかけて約1,000名の静注薬物使用者にワクチンを接種した。アルコール中毒者から感染が広がったため、 ヘルシンキのホームレスでアルコール中毒者の約400名にもワクチン接種を行った。ヘルシンキ以外の保健行政地区でも、 濃厚接触者への免疫グロブリン接種と静注薬物使用者へのワクチン接種を実施した。

フィンランドの静注薬物使用者の間でA型肝炎が大流行したのは、 1994年以来2回目である。さらなる集団感染を防止するためには、 静注薬物使用者に無料でワクチン接種をする計画を真剣に考えなければならない。

(Eurosurveillance Weekly、 7、 No.5、 2003)

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