感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部改正について

(Vol.23 p 278-279)

健発第1029005号
平成14年10月29日

  都道府県知事
各 政令市市長  殿
  特別区区長

厚生労働省健康局長

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成14年厚生労働省令第140号)は、 平成14年10月29日をもって公布され、 同年11月1日から施行されることとなったところである。

今回の改正の概要等は下記のとおりであるので、 関係者に対して周知徹底を図り、 その実施に遺憾なきを期されたい。

一.改正の概要

(1)ウエストナイル熱(ウエストナイル脳炎を含む。以下同じ。)を感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第 114号。以下、 「法」という。)上の四類感染症とし、 法第12条第1項に基づいてその患者について届出をすべき四類感染症(以下「全数届出の四類感染症」という。)とすること。これに伴い、 法第14条第1項の届出において、 ウエストナイル脳炎が急性脳炎に含まれなくなること。

(2)ウエストナイル熱を全数届出の四類感染症とすることから、 医師は、 ウエストナイル熱患者を診断したときは都道府県知事等に届け出なければならないこと。

二.感染症発生動向調査事業

感染症発生動向調査事業実施要綱(平成11年3月19日健医発第458号)中「第2 対象感染症」の「1.全数把握の対象 (4)四類感染症」の「(13)アメーバ赤痢」の次に「(13の2)ウエストナイル熱(ウエストナイル脳炎を含む。)」を、 「第5 事業の実施」の「2.全数把握対象の四類感染症 (2)調査単位及び実施方法 イ保健所(1)」の「(13)」の次に「(13の2)」をそれぞれ加え、 別記様式4−1を別紙(略)に改める。

この実施要綱の改正は、 平成14年11月1日から施行する。

なお、 感染症発生動向調査事業はコンピュータ・オンラインシステムを用いて行っているところであるが、 システムが整備されるまでの間は、 ウエストナイル熱の取扱については電話による連絡の上で別記様式4−1をファクシミリすることとされたい。都道府県等から厚生労働省への報告の窓口は、 国立感染症研究所感染症情報センター感染症発生動向調査担当(Tel 03- 5285-1111(代表)、 Fax 03-5285-1129)とする。

ウエストナイル熱届出のための基準

1.定 義

フラビウイルス科に属するウエストナイルウイルスによる感染症で、 蚊によって媒介される。

2.臨床的特徴

2〜14日の潜伏期の後に高熱で発症する。発熱は通常3〜6日間持続する。同時に頭痛、 背部の痛み、 筋肉痛、 食欲不振などの症状を有する。約半数で発疹が胸部、 背、 上肢に認められる。リンパ節腫脹も通常認められる。症状は通常1週間以内で回復するが、 その後倦怠感が残ることも多い。特に高齢者においては、 上記症状とともにさらに重篤な症状として、 激しい頭痛、 方向感覚の欠如、 麻痺、 意識障害、 痙攣等の症状が出現し脳炎、 髄膜脳炎を発症することがある。特に米国では重篤な例で筋力低下が約半数に認められている。

3.報告のための基準

・診断した医師の判断により、 症状や所見から当該疾患が疑われ、 かつ、 以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの。

・病原体の検出:例、 ウエストナイルウイルスの血液や脳脊髄液からの分離

・病原体の遺伝子の検出:例、 PCR法等によるウエストナイルウイルス遺伝子の血液や脳脊髄液中での検出

・抗体の検出:例、 ウエストナイルウイルス特異的IgMの血液や脳脊髄液中での検出
 ウエストナイルウイルス特異的IgGの検出とペア血清における4倍以上の上昇

−関連リンク−
・ウエストナイル熱の診断・治療ガイドライン
 (厚生労働省ホームページ)
  http://www.mhlw.go.jp/topics/2002/10/tp1023-1a.html

・ウエストナイル熱・脳炎Q&A
 (厚生労働省ホームページ)
  http://www.mhlw.go.jp/topics/2002/10/tp1023-1b.html

・感染症トピックス「ウエストナイルウイルス」
 (国立感染症研究所感染症情報センター)
  http://idsc.nih.go.jp/others/infhk.html

・感染症の話「ウエストナイル熱/ウエストナイル脳炎」2002年第27号
 (国立感染症研究所感染症情報センター)
  http://idsc.nih.go.jp/kansen/k02_g2/k02_27/k02_27.html

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