無菌性髄膜炎患者からのエコーウイルス13型の分離状況、 2002年−長崎県

(Vol.23 p 228-228)

長崎県では、 2002年4月より無菌性髄膜炎患者の検体が搬入され始め、 6月に入り急増している。7月31日現在、 75検体(67人)が搬入され、 そのうち19検体(17人)からエコーウイルス13型(E13)が分離された。現在も数十件の分離ウイルスについて同定継続中である。以下、 その概要を示す。

ウイルス分離は、 RD-18S細胞、 HEp-2細胞、 Vero細胞を用いて実施した。特にRD-18S細胞では、 明瞭なエンテロウイルス様のCPE(細胞変性効果)が認められた。分離ウイルスの同定は、 デンカ生研のE13単味抗血清20単位を用いて容易に中和された。また、 HEp-2細胞を用いた場合、 9検体にCPEが認められたが、 HEp-2細胞を用いての同定は困難であり、 RD-18S細胞を用いてE13と同定できた。

E13症例の臨床診断別症例数は、 無菌性髄膜炎19症例、 急性脳症1症例、 咽頭結膜熱1症例であり、 検体別の同ウイルス分離状況は、 髄液17株、 咽頭ぬぐい液3株、 尿1株であった。

年齢別の症例数は21症例中0歳児(6例)、 2歳児(0例)、 3歳児(1例)、 4歳児(3例)、 5歳児(4例)、 7歳児(4例)、 9歳児(2例)、 11歳児(1例)であり、 5歳児以下が67%(14例)を占め、 性別では、 男性17例、 女性4例で圧倒的に男性が多かった。

なお、 本県における無菌性髄膜炎の患者は増加傾向にあり、 今後の発生状況等に十分注意が必要である。

長崎県衛生公害研究所 平野 学 中村まき子 原 健志 野口英太郎

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