エコーウイルス13型の分離状況−大分県

(Vol.23 p 195-195)

2002年5月下旬に無菌性髄膜炎を発症した生後3カ月の患児髄液より、 エコーウイルス13型(E13)が分離同定された。その後、 6月に入って無菌性髄膜炎の検体搬入が急激に増加するとともに同型ウイルスが分離されるようになり、 7月初旬現在までに合計15症例から分離されている。

月別分離数は5月1例(1株)、 6月9例(9株)、 7月5例(5株)であり、 臨床診断名は14症例が無菌性髄膜炎、 1症例が咽頭炎であった。検体別分離状況は髄液14株、 咽頭ぬぐい液1株であった。各患者に認められた臨床症状・兆候等は38〜39℃の発熱(9例)、 発疹(3例)、 上気道炎(1例)、 嘔吐・頭痛(1例)であった。15症例を年齢別にみると0歳(4例)、 2歳(1例)、 3歳(1例)、 4歳(2例)、 5歳(1例)、 7歳(1例)、 9歳(1例)、 10歳(2例)、 11歳(2例)であり、 5歳以下が60%(9例)を占め、 性別では男性10例、 女性5例であった。

ウイルス分離にはHEp-2 細胞、 BS-C-1細胞、 Vero細胞、 CaCo-2細胞を用いたが、 CaCo-2細胞のみにエンテロウイルス様の細胞変性効果が認められた。分離ウイルスの同定には国立感染症研究所より分与されたエコーウイルスプール抗血清(EP95)およびデンカ生研製エンテロウイルスプール抗血清を用いてウイルス中和試験を行ったが同定できなかった。そのためデンカ生研製エコーウイルスの各単味血清を用いて中和試験を行ったところ、 本ウイルスはいずれも抗E13型単味血清に良好に中和され、 分離ウイルスはE13と同定された。

なお、 本県における無菌性髄膜炎の患者は増加傾向にあり、 今後の発生状況等に十分注意する必要がある。

大分県衛生環境研究センター 吉用省三 小野哲郎 小河正雄

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