集団かぜからのインフルエンザウイルスAH1型の分離−高知県

 
(Vol. 23 p 39-39)

2001年12月17日、 県中央山間部の吾川郡下の小学校(全校児童数62名)でインフルエンザ様疾患の集団発生報告があった。17日は全学年で27名がインフルエンザ様症状を呈し欠席、 登校児童のうち22人が発熱や咳などの症状を訴えており、 全校生徒のほぼ8割がインフルエンザに感染したとみられた。主な症状は38℃をこえる発熱、 頭痛、 咽頭痛、 下痢であった。同校は18、 19日の両日を臨時休校とする措置をとった。

18〜20日の間に地元の診療所を受診した同校児童5名(いずれも今シ−ズンのワクチン未接種)について咽頭ぬぐい液を採取し、 MDCK細胞を用いてウイルス分離を実施したところ、 全員からインフルエンザウイルスA/ソ連(H1)型が分離された。

これらのウイルス株は、 モルモット赤血球に対してHA価64〜128を示し、 国立感染症研究所から分与のあった2001/02シ−ズン用検査キットの抗血清を用いたHI試験の結果、 A/New Caledonia/20/99(H1N1)に対しHI価160〜320(ホモ価160)、 A/Moscow/13/98に対しHI価20(ホモ価640)、 A/Panama/2007/99(H3N2)に対しHI価<10(ホモ価320)を示した。

昨シ−ズン高知県では、 2001年1〜3月までの分離ウイルスはすべてB型であり、 4〜5月にかけてAH1とAH3型が分離されている。他県とは少し異なる分離状況であったが、 今シ−ズンは近県に先がけて集団発生からAH1型が、 動向調査の検体からAH3型(12月中に6株)が分離されている。これらの型のウイルスによる患者発生は昨シーズン不完全な状態で終わった感があり、 今後の動向が注目される。

高知県衛生研究所 千屋誠造 永安聖二 小松照子 上岡英和
高知県中央西保健所 岡林 久 片岡隆策

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp


ホームへ戻る