2001/02シーズン大阪市内で初めて分離されたAH1型インフルエンザウイルス

(Vol.23 p 10-10)

今シーズンになって初めてAH1型インフルエンザウイルスが、 大阪市感染症発生動向調査・病原体定点医療機関を受診した患者から1株分離された。患者は5歳の女児で、 2001(平成13)年12月15日から咳、 鼻水を認め、 18日には高熱(40.2℃)、 悪寒、 軟便を呈し、 19日に受診した。高熱、 咽頭発赤などからインフルエンザと診断された。インフルA・B−クイック「生研」にてA型抗原を検出した。

患者の咽頭ぬぐい液をMDCK細胞に接種後、 初代培養で典型的なCPEを呈し、 0.75%モルモット血球でのHA価は512を示した。HI試験の結果、 A/New Caledonia/20/99(H1N1)では320(ホモ価320)、 A/Moscow/13/98(H1N1)では20(ホモ価1,280)、 A/Panama/2007/99(H3N2)では<10(ホモ価1,280)、 B/Johannesburg/5/99では<10(ホモ価160)、 B/Akita(秋田)/27/2001では<10(ホモ価40)であったので、 分離ウイルスはA/New Caledonia/20/99(H1N1)類似のAH1型ウイルスであると同定した。なお、 昨シーズン大阪市内では10株のAH1型ウイルスを分離したが、 今回の分離株との抗原性は類似していた。

患者はアマンタジン投与後、 20日には解熱し25日には軽快した。母親も同様の症状を認めた。

大阪市立環境科学研究所 村上 司 久保英幸 春木孝祐 杉田隆博
中野こども病院     木野 稔

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