ワクチン由来ポリオウイルスによる急性弛緩性麻痺症例、 2001年−フィリピン
(Vol.22 p 323-323)

2001年3月〜7月にかけてフィリピンで、 経口生ワクチン(OPV)由来ポリオウイルスの感染症例が3例報告された。1例目は8歳の子供でOPVを3回接種しているが、 3月15日に麻痺が出現した。2例目は3歳児で、 やはりOPVを3回接種しているが、 7月23日に髄膜炎の所見を示し、 麻痺はなかった。3例目は14カ月児でOPVを2回接種しているが、 7月26日に麻痺が出現した。3例ともに、 居住地域の外へは出ていない。分離されたウイルスは1型 Sabinワクチン由来のポリオウイルスで、 ハイチ、 ドミニカの場合(本月報Vol.22、 No.11、 p.23参照)同様、 カプシド抗原をコードする領域の塩基配列がやはり3%変異していた。

これに対してフィリピン保健省は急性弛緩性麻痺(AFP)症例のサーベイランスを強化し、 症例接触者の便を集め、 ウイルス学的検索を行うサーベイランスを立ち上げた。ワクチン由来ポリオウイルスの流行は、 ワクチン接種率が低いことが原因の一つと指摘されているため、 フィリピンでも大規模なワクチンキャンペーンを計画している。

(CDC、 MMWR、 50、 No.40、 874-875、 2001)

IASR編集委員会註:フィリピンのAFP患者から、 前号で紹介したハイチ、 ドミニカでの流行例とよく似たワクチンの変異株(しかしその遺伝子配列は異なり、 同一の株ではない)が採れた。しかし、 このウイルスが同地で流布し、 流行をおこしたという証拠はまだつかめておらず、 ワクチンの接種状況も精査中である。12月には患者発生地域の周辺で、 2002年2〜3月には全国レベルの大規模な追加免疫が行われる予定である。

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