S . BrandenburgおよびS . Corvallis両菌型による院内食中毒−兵庫県

(Vol.22 p 293-294)

県北部の某病院にて、 2001年8月17日〜21日にかけて下痢・発熱を訴えた入院患者等7名、 同じく無症状1名のうち、 7名からSalmonella O4、 2名からSalmonella O8(1名は両菌型)が検出され(病院検査室で実施)、 精査ため当所に搬入された。これらはそれぞれ、 Salmonella BrandenburgおよびS . Corvallisと同定された。有症患者の共通の飲食物として病院給食(喫食者317名)が疑われた。

通院にて腎透析を受けている有症患者は17日の給食(昼食)しか食していないため、 同日の昼食が強く疑われた。所轄の健康福祉事務所が、 当日の昼食料理を中心にSalmonella を検索し4株を分離した。当所の同定結果は、 豚のしょうが焼き(食品1)、 青菜のおひたし(同2)、 春雨の酢の物(同3)からの3株はS . Brandenburg、 キャベツ・玉ねぎ・ニンジンの煮物からの分離株はS . Corvallisであった。なお、 調理従事者はSalmonella 陰性(病院検査室で実施)であった。

以上分離された10株のS . Brandenburgおよび3株のS . Corvallisは、 12薬剤(ABPC、 CTX、 KM、 GM、 SM、 TC、 TMP、 CPFX、 FOM、 CP、 ST、 NA)すべてに感受性であった。同じく両菌型13株について、 Bln IあるいはXba Iそれぞれの染色体切断産物のパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)を実施した。S . Brandenburgは食品1(:レーン7、 18)と食品2、 3由来株(:レーン10〜11、 19〜20)間でやや異なっているが、 両菌型ともそれぞれの制限酵素で同一のパターンを示した。

1998年末〜1999年にかけて全国を席巻した、 イカ菓子によるSalmonella 流行(本月報Vol.20、 No.7、 p.167参照)は記憶に新しい。今回の院内食中毒は、 比較的出現頻度の低い(同Vol.21、 No.8、 p.162参照)2菌型によるSalmonella 混合感染であること、 および、 いずれの菌型とも食品から分離されているなど類似点が多い。しかし今回の事例では、 Salmonella が分離された食品に何ら共通点は認められず、 本菌の感染源は明確ではない。

兵庫県立衛生研究所微生物部 浜田耕吉 辻 英高 押部智宏

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