大流行中のヘルパンギーナとA群コクサッキーウイルス−島根県
(Vol.22 p 220-220)

島根県における今年のヘルパンギーナの患者報告は16週から始まった。その後24週まで1.0人以下/定点の微増の報告数であったが、 25週から急増し28週にピークとなった(6.6人/定点)。その後患者報告は徐々に減少し、 32週には2.5人/定点で推移している。この間の報告数は835名、 うち7月の報告数は520名であり、 7月の報告数としては過去10年で最高となった。地区別の患者報告数のピークは東部26週、 西部27週、 中部29週であり、 地区によって若干異なっている(図1)。

これまでにヘルパンギーナ患者138検体から分離されたウイルスは表1のとおりで12種類に及ぶが、 流行の中心はA群コクサッキーウイルス(CA)4型、 CA8等である。21週以降の地区別のCAの分離状況をみると(図2)、 流行時期が早かった東部は前半はCA2、 CA6、 CA10、 26週以降CA8を中心にCA2、 CA4、 CA6が分離されている。中部はCA4、 CA8を中心にCA6が少数例、 そして、 西部は検体数が少ないため分離数も少ないが、 CA2、 CA8が分離されている。このように地区によって原因ウイルスの構成は異なっているが、 患者数が急増した25週以後はいずれの地区でも2〜5種類のCAが分離された。さらに、 CA8はすべての地区でほぼ同時期に多数分離され、 大流行の主因の一つと考えられた。なお、 これらCAはすべて哺乳マウスでのみ分離されている。

本県におけるCA8の過去の分離状況は、 1987年の11株を最高に1982、 1989、 1993、 1999年に1〜2株、 そして昨年5株と流行頻度の低いウイルスであり、 感受性者が多く存在していたものと推測される。

島根県保健環境科学研究所
飯塚節子 田原研司 糸川浩司 武田積代 板垣朝夫

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