コレラワクチンの適正使用についてのWHOの見解
(Vol. 22 p 147-148)

現在世界で入手可能なコレラワクチンは3種類である。1つは40年来使用されてきた非経口不活化ワクチンであるが、 有効率は50%で、 効果は6カ月持続するに過ぎない。他の2つは新しい経口ワクチンで、 死菌にコレラ毒素のBサブユニットを加えた不活化ワクチンWC/rBSと、 遺伝子操作で弱毒化した生ワクチンCVD 103-HgRである。前者の有効率は85〜90%で、 50%阻止率が3年間持続する。後者の有効率も60〜100%以上と高いが、 長期の有効性は評価中である。なお2つともコレラ菌O139には効果がない。

今回、 WHOはコレラワクチンの適正使用に関し、 従来型ワクチンの使用中止を勧告し、 経口ワクチン使用についての見解を公表した。適応となるのは環境の悪いキャンプに居住する難民や、 都市のスラムの住民などで、 集団発生に対応する接種でなく、 前もって計画的に接種を行う。両ワクチンの選択の目安として、 コレラが流行する可能性の高い地域での接種には、 WC/rBSの2回接種が推奨され、 実際にコレラが集団発生し、 2回接種が困難な場合は、 1回接種でも有効なCVD 103-HgRを使用する、 とした。また流行地への旅行者にもいずれかの経口ワクチン使用を勧めるが、 効果が出現するまでの日数が2種類で異なり、 注意が必要である。

コレラ菌O139も含めたあらゆる様式のコレラ流行にも対応するワクチンの開発と、 5歳以下も含む全年齢層での経口ワクチンの長期有効性の確認が、 今後の課題とされた。

(WHO、 WER、 76、 No.16、 117-124、 2001)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp

ホームへ戻る