メッカ巡礼(Hajj)に関連した髄膜炎菌感染症−英国
(Vol. 22 p 147-147)

2001年のメッカ巡礼者およびその接触者における髄膜炎菌W135群による感染症発生は継続している。英国では2001年3月4日の巡礼開始日〜5月9日までに、 41例の髄膜炎菌W135群による侵襲性感染症が報告された。うち29例の分離株は昨年の巡礼関連株と同一血清型(2a P1.2, 1.5)であった。8例はメッカ巡礼者、 19例は巡礼者との接触歴があったが、 10例においては巡礼(者)との関連は不明であった。巡礼者症例の年齢中央値が40歳であったのに対し、 他の症例では2歳であった。死亡者は11名(致死率27%)であった。英国のイスラム教徒の分布に対応し、 ほとんどの症例は北部イングランドかロンドンからの報告であった。今年、 英国では巡礼者に対する推奨ワクチンがW135群を含む4価ワクチンに変更されたが、 巡礼者における発症率(10万人当たり38)は昨年の発症率(10万人当たり35)とほぼ同じであった。これはおそらく、 ワクチン接種率が推定47%以下であることと関連があると思われた。ワクチン不応例の報告はなかった。ワクチン接種歴の得られた接触者症例の多くはA/C群ワクチンを受けており、 4価ワクチン接種者はいなかった。昨年の流行状況に基づくと、 流行は主にイスラム教徒の間で続いていると考えられる。患者の予後改善のためには、 初期治療でベンジルペニシリンの静脈内投与が推奨される。症例の早期発見のためには、 イスラム教徒の間で感染リスクが高いことに医療従事者が注意を払うべきである。

(CDSC、 CDR、 11、 No.19、 2001)

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