HIV定量用キット(アンプリコアHIV-1モニターv1.5)の精度管理全国調査
(Vol.22 p 111-112)

HIV定量キットのアンプリコアHIV-1モニターv1.5を用いて、標準法・高感度法のコントロールサーベイおよびアンケート調査を実施し、問題点を把握し、改善をおこなった。全国で当該キットを使用している全40施設を対象にした。標準法は37施設、高感度法は28施設、そのうち、両方法を採用している施設は25施設であった。配布パネル血清は標準法用が5検体、高感度法用が6検体であり、それぞれに陰性および濃度の違った陽性(サブタイプBおよびE)で構成されていた。目標値の1/3 〜3倍を超えた施設(図中◆で表示)が標準法で6施設、高感度法で7施設あった。それらの施設に対して、パネル血清を再送付し、手技・測定手順の確認によって、標準法と高感度法でそれぞれ3施設が改善された。主に手技上の問題点が多く、遠心後やエタノール洗浄後の長時間放置や洗浄操作の問題また規格外の使用チューブの使用、サーマルサイクラーや自動洗浄器など機器のメンテナンス不備などが指摘された。なお、9施設に計算ミスが見つかったが図中は訂正後の数値を示した。対応としては計算ファイルを配布することにより改善された。

コントロールサーベイの結果から次のことがわかった。

 1)アンプリコアHIV-1モニターv1.5は従来品v1.0と同様の精度であり、サブタイプEも同様の精度であることが確認された。

 2)高感度法では測定値が理論値よりも低くなることが多く、RNAの回収不良と考えられる。

 3)測定値のばらつきを抑えるために望まれることは技術者のトレーニング強化や問題点を把握・改善するための詳細なマニュアルの作成、および機器の定期的なメンテナンスである。

 4)測定値の逸脱と経験年数や測定回数、頻度との関連性は見られなかった。

 5)今回測定値に問題のあったケースは、キット添付のコントロール値やQS(既知量の定量標準RNA)のODの値からは問題点は見つからない。したがって添付のコントロール以外の参照品を適時測定、および定期的な精度管理調査が有効である。

国立感染症研究所
エイズ研究センター第2室 吉原なみ子 福嶋浩一

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp

ホームへ戻る