2000/01シーズンにおけるB型インフルエンザウイルスの分離例−鹿児島県
(Vol.22 p 61-61)

鹿児島県において、 B/Yamanashi (山梨)/166/98に対してHI価10という低い価を示すB型インフルエンザウイルスを2株分離したので報告する。

症例1は2歳男児、 2001年1月28日に発熱(39.8℃)、上気道炎(咳・鼻汁)を主訴として鹿児島市保健所管内の小児科医を受診し、インフルエンザと診断された。MDCK細胞を用い咽頭ぬぐい液から分離されたインフルエンザウイルスのHA価は、モルモット赤血球に対して32HAを示した。

症例2は31歳男性、2001年2月3日に発熱(38.5℃)、上気道炎(咳・鼻汁)、関節痛を主訴として同保健所管内の内科を受診し、インフルエンザと診断された。MDCK細胞を用い咽頭うがい液から分離されたウイルスは、モルモット赤血球に対して64HAを示した。

国立感染症研究所より分与された感染フェレット抗血清を用いてHI試験を行った結果、2株ともB/Shangdong (山東)/07/97に対するHI価は<10(ホモ価40)、 B/Yamanashi (山梨)/166/98に対するHI価は10(ホモ価 320)を示し、 RT-PCRおよび市販のEIAキットにより、インフルエンザウイルスB型と同定した。

感染症発生動向調査によると、本県におけるインフルエンザの患者報告数は定点当たり3.66人(第6週)で、例年に比べかなり少ない状況である。

なお、今シーズンは、2月21日現在までに7株のA(H3)型インフルエンザウイルスが分離されている。

鹿児島県環境保健センター
新川奈緒美 吉國謙一郎 有馬忠行 本田俊郎 上野伸広 永田告治
池田病院  池田琢哉