2000/01シーズン前半までのインフルエンザウイルス分離状況−広島県
(Vol.22 p 60-61)

2001年1月31日現在までのところ、広島県におけるインフルエンザの流行は例年に比べて極めて低いが(2001年第4週の報告患者数:0.29人/定点、昨年同期:42.8人/定点)、我々はこれまでに、広島県内の散発事例あるいは集団かぜ事例から、A/香港型、A/ソ連型およびB型のインフルエンザウイルスを分離した。

1)散発事例からのA/香港型ウイルス分離
2000年9月4日に採取された散発事例の患者の咽頭ぬぐい液から、A/香港型ウイルスが分離されたが(病原微生物検出情報月報、Vol.21、No.12 )、それ以降は県内において同型ウイルスは分離されていない。

2)集団かぜ事例からのA/ソ連型ウイルス分離
2001年1月15日に広島県内のA町内のB小学校で集団かぜが発生した。全校生徒39名中、患者は25名。症状は発熱、咳、咽頭痛が主で、消化器症状は認められなかった。医療機関の協力を得て、1月17日〜20日にかけてB小学校の患者や同地区内でインフルエンザ症状を示した幼稚園児、中学生など、合計15名から咽頭ぬぐい液を採取した。それらの検体について、広島県保健環境センター(当所)においてウイルス検査を実施した結果、15検体中11検体からMDCK細胞でA/ソ連型ウイルスが分離された。国立感染症研究所(感染研)より分与された2000/01シーズン用の感染フェレット血清と七面鳥血球を用いたHI試験では、それらの分離ウイルス株はそれぞれ、A/Moscow/13/93(H1N1、 抗血清ホモ価 1,280)に対してHI価10〜40、A/New Caledonia/20/99(H1N1、 抗血清ホモ価 320)に対してHI価80〜160を示した。このことから、今回分離されたA/ソ連型ウイルスは、昨シーズンの流行の主流であったA/New Caledonia/20/99(H1N1)様のウイルスと考えられる。

3)散発事例からのB型ウイルス分離
患者は10歳の男児。2001年1月19日に発熱(39℃)、上気道炎、腓腹筋痛による歩行障害、下痢の症状で広島県内の医療機関を受診した。同日に採取された咽頭ぬぐい液を当所においてウイルス検査を実施した結果、MDCK細胞でB型ウイルスが分離された[B/Hiroshima(広島)/12/2001]。感染研より分与された1997/98シーズン〜2000/01シーズンまでの抗B型フェレット血清と七面鳥血球を用いたHI試験で抗原解析を実施した結果、今回の分離ウイルス株はB/Yamagata(山形)/16/88系統に属するウイルスであると推定された(表1)。なお、広島県においては昨シーズンもB/Yamagata(山形)/16/88系統のウイルスを1株分離しているが[B/Hiroshima(広島)/17/2000]、その株と今回の株とでは抗原性に若干の違いが認められた(表1)。

広島県保健環境センター 高尾信一 島津幸枝 福田伸治 野田雅博 徳本靜代
広島県福祉保健部健康対策課 中村就一
伊藤医院 伊藤徹三
尾道市立市民病院 鎌田研治

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