ヒトの狂犬病事例、2000年−米国・カナダ
(Vol. 22 p 42-42)

米国:1998年12月以降、ヒト狂犬病の報告はなかったが、2000年9月20日〜11月1日にかけ、5例の狂犬病による死亡例が報告された。それらはカリフォルニア、ニューヨーク、ジョージア、ミネソタ、ウィスコンシンの各州から1例ずつの散発例であり、全員が男性で、年齢は26歳〜69歳であった。このうち、ニューヨーク州の1例は、国外(ガーナ)で狂犬病ワクチン未接種の子犬に咬まれたことにより、狂犬病に感染した可能性が高い。他の4例についてはコウモリとの接触により狂犬病に感染した可能性が示唆されている。

カナダ:1985年以降ヒト狂犬病の死亡報告はなかったが、2000年9月に狂犬病による9歳男児の死亡例が報告された。この例においては、コウモリとの明確な接触歴は不明であった。しかし、田舎のコテージで家族と過ごした際、コウモリが何度も屋内で目撃されたことが報告されている。

コウモリのような小動物による咬み傷や引っかき傷は小さいため、受傷に気付かなかったり、気付いても受診しないことが多いと考えられることから、以下の提言がなされている。1)いかなる動物からであれ傷を受けたらすぐに洗って受診し、曝露後予防(post-exposure prophylaxis:PEP)の適用を考慮する、2)特にコウモリからの受傷であれば、コウモリが狂犬病ウイルスに感染していなかったかを検査する、3)コウモリとの直接接触の可能性があればPEPを考慮する。

(CDC、 MMWR、 49、 No.49、 1111-1116、 2000)

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