今シーズンにおけるA(H1)型インフルエンザウイルスの分離例−静岡県
(Vol.22 p 6-6)

感染症発生動向調査によると、静岡県におけるインフルエンザの患者報告は0.37/定点(49週)で、まだ本格的に流行していないが、静岡県では流行の可能性のあるウイルスについての情報をいち早く提供するため、病原体定点以外の医療機関からの検体も検査対象として病原体分離に努めている。

症例は4歳2カ月齢の女児(幼稚園児)で、発熱(39.0℃)、上気道炎を主訴とし12月11日に中東遠保健所管内の小児科医院を受診し、A型ウイルス抗原検出検査(ディレクティジェンFlu A)で陽性を示したことから、インフルエンザと診断された。

当研究所に搬入された咽頭ぬぐい液をMDCK細胞に接種したところ、培養4日目に細胞変性効果(CPE)が観察され、培養上清のシチメンチョウ赤血球に対するHA価は64を示した。感染研分与の2000/01シーズン用検査キットの抗血清を用いて血球凝集抑制(HI)試験を行った結果、分離株はA/New Caledonia/20/99(H1N1)に対しHI価640(ホモ価 640)、 A/Moscow/13/98(H1N1)に対しHI価20(ホモ価 2,560)、 A/Panama/2007/99(H3N2)に対しHI価<10(ホモ価 2,560)を示し、A(H1)型インフルエンザウイルスと同定された。

静岡県環境衛生科学研究所 佐原啓二 長岡宏美 杉枝正明 秋山眞人
池谷医院   池谷 満

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp

ホームへ戻る