Medeva社製経口ポリオワクチンのリコール−英国
(Vol. 22 p 11-11)

英国医薬安全局(United Kingdom Medicines Control Agency :MCA)は、Medeva社製の経口ポリオワクチン(ブランド名 Evans)の即時回収を命じた。このワクチンは英国における通常および旅行者用予防接種に用いられていた。経口ポリオワクチン製造過程が、医薬品による牛海綿状脳症(BSE)感染から国民を守るためのガイドラインに従っていないことを根拠としている。

1989年より英国医薬安全局は、英国産の牛由来材料を注射用医薬品には用いてはならないとしている。また、1999年よりEUは、経口製剤にはBSE が報告されていない国の牛由来材料のみを用いることとする、とのガイドラインを決めている。Medeva社製経口ポリオワクチンは、製造初期段階に牛胎児血清を用いており、上記ガイドラインに従っていなかった。この牛胎児血清は初期精製過程で除かれ、BSEについて「感染性は検出されない」に区分されていた。今回のリコールは予防措置として実施されたものであり、現在のところ、Medeva社製経口ポリオワクチンを投与された者に対して健康上のリスクはないと考えられる。

Medeva社製経口ポリオワクチンの代替としてのSmith Kline Beecham社製経口ポリオワクチンでは、ニュージーランド産の牛由来材料を用いており、上記ガイドラインに抵触していない。ワクチン接種医はMedeva社製経口ポリオワクチンを速やかにSmith Kline Beecham社製に変更するよう、指示されている。

(SCIEH、24 October, 2000)

IASR編集委員会註:日本のポリオワクチン製造過程においては、現在、ニュージーランドおよびオーストラリアからの輸入血清を使用している。過去にBSE汚染地域(英国・フランス等)から牛血清を輸入していた時期はない。

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