薬剤耐性淋菌、1999年−米国
(Vol. 21 p 275-276)

フルオロキノロン耐性淋菌、ハワイ:CDCは淋病治療薬としてフルオロキノロン(シプロフロキサシンかオフロキサシンのいずれかの1回経口投与)の使用を勧告し、実際広く用いられている。アジアではフルオロキノロン耐性菌が多いが、米国では散発例が報告されているのみである。ハワイは例外で、ハワイ・太平洋諸島・アジアでの感染が疑われる場合は、セフトリアキソン、セフィキシムを用い、セファロスポリン系抗菌剤が使用できないときはスペクチノマイシンを用いるべきであるとしている。ハワイ州衛生研究所は淋病サーベイランスプロジェクト(GISP)にも参加しており、男性淋病症例での薬剤耐性状況をモニターしている。シプロフロキサシン耐性株の増加を受けて、ハワイ州衛生検査所とCDCが1999年9月に調査を行った。1990年1月〜1999年9月の期間中、105検体がシプロフロキサシンに何らかの耐性を持つと確認された(耐性48検体、中等度耐性57検体)。また、ハワイにおけるシプロフロキサシン耐性淋菌分離状況は、1997年の1.4%(4/290)から1999年の9.5%(22/231)に増加していた。調べられたシプロフロキサシン耐性75株中48株(64%)がペニシリンに、33株(44%)がテトラサイクリンに耐性であった。セフトリアキソン、セフィキシム、アジスロマイシンへの感受性低下や、スペクチノマイシンへの耐性は認められなかった。近年、培養によらない淋病診断方法が普及しており、このような淋菌薬剤耐性の状況把握が困難となっている。

アジスロマイシン感受性の低下、ミズーリ州カンザスシティー:アジスロマイシン低感受性淋菌の報告は米国および世界中で稀であり、米国では淋病治療に広く使用されている。FDAは淋病治療にアジスロマイシン2g投与を認めているが、CDCは高価であることと胃腸症状を呈する副作用のため、通常使用を推奨していない。1999年3月〜12月までに、GISPによって、アジスロマイシン感受性が低下した淋菌による12名の男性症例集団発生事例が、ミズーリ州カンザスシティーで報告された。これは米国における初めての集団発生事例報告である。CDC、州と市の保健当局によるカルテ調査の結果、2例は診断前30日間に抗菌剤が使用されており、12例全例がセフィキシムで治療された。アジスロマイシンの発育阻止濃度は2.0μg/mlであった。暫定的な検査結果からは、12名からの淋菌は同一であり、いずれもセフトリアキソン、セフィキシム、スペクチノマイシン、シプロフロキサシン、ペニシリンに感受性、テトラサイクリンに耐性を有していた。

(CDC、 MMWR、 49、 No.37、 833-837、 2000)

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