手足口病の流行について−福岡市
(Vol.21 p 273-274)

全国的に手足口病発生の報告があるが、当市においても流行が見られた。

福岡県結核・感染症発生動向調査解析委員会によると県内の手足口病患者数は4月頃から増加し、第28週で1定点あたり12.2人まで増加したのをピークに減少している。

感染症発生動向調査に基づく手足口病の検査依頼は2000年4月10日〜10月27日までに計58名78検体(咽頭ぬぐい液47検体、うがい液7検体、糞便16検体、髄液8検体)であった。これらのうち19名20検体(咽頭ぬぐい液12検体、うがい液2検体、糞便6検体)からエンテロウイルス71型(EV71)が分離された。手足口病以外では急性小脳失調症患者の糞便からEV71が1株分離された。

CaCo-2、RD-18S、HEp-2、BGM細胞等を用い、EV71は主にCaCo-2、 RD-18S細胞で分離同定された。

その他に手足口病の検体からはエコーウイルス25型2株、エコーウイルス9型1株、アデノウイルス2型2株、コクサッキーウイルスA6型1株が分離された。現在分離・同定中のものもあり、若干分離数は追加されるものと思われる。

また、今回手足口病と診断され死亡した患者(1名)からEV71が分離されたのでその概要について報告する。

概要:症例は2歳2カ月の男児。2000(平成12)年7月1日より高熱、嘔吐、2日より手足の発疹が出現。3日近医初診、WBC 13,300、CRP 5.4mg/dl、咽頭発赤、扁桃腫大もあり、輸液とABPC坐剤の処方を受けた。4日症状続くため再診、WBC 14,900、CRP 2.5mg/dl、GOT 40IU/l、GPT 10IU/l、LDH 698IU/l、CPK 198IU/l、血糖40mg/dl、胸部X線写真で肺炎像なく、CTR 45%、心電図では洞性頻脈、心エコーで心筋の動き悪く、心筋炎が疑われた。陥没呼吸、傾眠傾向となり、救急車で搬送中に心停止、挿管となり、18:14福岡市立こども病院・感染症センターへ入院。モニター上完全AVブロックあり、救命治療とともに心臓カテーテルによる一時ペーシングを行うも全く反応せず、19:32死亡された。

意識が比較的保たれている時点で、チアノーゼが出現し、心エコー所見、ペーシングにも反応しないなどから心筋炎を疑った。しかし、発症時にCPKの上昇や、心拡大がなかった。EV71感染症では中枢神経系の合併症が大部分で、心筋炎が疑われても最終的には脳炎であった例が報告されており、脳炎および脳幹障害からの循環器障害も考えられる。剖検所見が得られておらず、最終診断には至らなかった。

入院時の検体(咽頭ぬぐい液、糞便)からEV71が分離され、この株は国立感染症研究所のシーケンス解析によりgenotype A-2であることがわかった。

福岡市保健環境研究所微生物課 馬場純一 宮代 守 波呂美加
福岡市立こども病院・感染症センター 青木知信 牛ノ濱大也

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