鉢植え土によるレジオネラ症、2000年5〜6月−米国・カリフォルニア、オレゴン、ワシントン州
(Vol. 21 p 224-224)

レジオネラ感染症散発例の原因、感染経路は多くの場合明らかでなかったが、オーストラリアと日本(本月報Vol.19、No.4参照)からLegionella longbeachaeの園芸、鉢植え土との関連が報告されている。本報告は米国で初めての植木鉢の土関連レジオネラ感染症の報告である。

6月13日CDCはワシントン州衛生局から、L. longbeachaeによる肺炎で入院した46歳女性が、5月に発症する10日前から鉢植えをしていたとの報告を受けた。喀痰と鉢植えの土および堆肥からのサンプルを調べたところ、鉢植えの土からはL. longbeachaeが、堆肥からは他のレジオネラ属菌が検出された。

5月にはレジオネラ症の77歳オレゴン州女性と、45歳カリフォルニア州男性の気管支洗浄液からL. longbeachaeが検出された。45歳男性は死亡した(家は調査前にすでに掃除がされていた)。オレゴン州の女性は4月に発症する10日前から市販の土を使った鉢植えと園芸をしており、この家の鉢植えの土からL. longbeachaeが検出され、患者からの分離株とのタイピングの比較が予定されている。

米国ではL. pneumophila serogroup 1によるレジオネラ症が最も多く、L. longbeachaeによるものの報告は比較的少ない。CDCのレジオネラレポートへは1990〜99年で37例報告されている。米国では土中レジオネラに対するサーベイランスはされていないが、オーストラリアでは鉢植え土45件が調べられ、うち33件(73%)からレジオネラ属菌が検出され、26件はL. longbeachaeであった。ヨーロッパ、英国の土サンプル19件の調査ではL. longbeachaeは1例も検出されなかった。日本でも1998年に土17検体が調査され、レジオネラ属菌31種が検出された。うち8件(47%)からL. longbeachaeが検出されている。

(CDC、 MMWR、 49、 No.34、 777-778、 2000)

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