ワクチンに含まれるチメロサールに関する共同声明−米国
(Vol. 21 p 200-200)

2000年6月に、アメリカ家庭医アカデミー(AAFP)、アメリカ小児科医アカデミー(AAP)、予防接種諮問委員会(ACIP)、公衆衛生協会(PHS)はワクチンに保存剤として含まれるチメロサールに関して共同声明を行った。

チメロサールは水銀を成分として含み、混入感染を防ぐ目的でワクチン保存剤として使用されている。水銀の及ぼす身体への影響には一般の関心が高いこと、ワクチンから水銀を除去することが小児の水銀への暴露を減少させることにつながることを考慮して今回の声明がなされた。

この声明で、AAFP・AAP・ACIPはチメロサール無添加ワクチンへの迅速な移行を求めている現行の政策を支持した。しかし十分量のワクチン供給が達成されるまでは、保存剤としてチメロサールを含むワクチンの使用はやむを得ないとした。ワクチン中のチメロサールによって健康上の被害を被ったという証拠は今のところ存在しない。

米国では2000年3月以降、チメロサールを保存剤として含まないB型肝炎ワクチンの接種を受けることが可能になった。b型インフルエンザ菌ワクチン(Hib)、ジフテリア・破傷風トキソイド・百日咳ワクチン(DTaP)においてもチメロサール無添加ワクチンがあり、また無添加への移行が進んでいる。この結果、小児が通常のワクチン・スケジュールで暴露されるエチル化水銀の最大量は約60%、すなわち187.5μg→75μg程度の量に削減される。

世界的には多くの地域で、費用や製造、保存場所などの理由で1つのバイアルを複数回使用するワクチンを製造せざるを得ない状況が続いている。そのような状況下では保存剤の添加は必要であり、ワクチン業者はチメロサールに代わる保存剤が必要となっている。

(CDC、 MMWR、 49、 No.27、 622&631、 2000)

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