カリフォルニアで発生した致死的なアレナウイルス感染症−米国
(Vol. 21 p 199-200)

アレナウイルスは齧歯類媒介性のエンベロープを持つRNAウイルスで、アフリカや南米ではウイルス性出血熱の原因となっている。旧世界アレナウイルスと新世界アレナウイルスに分類され、前者はラッサ熱やリンパ球性脈絡髄膜炎などの病原体として、後者は南米出血熱ウイルスとして知られている。また、1990年代になって北米のNeotoma albigulaという森に住むネズミがWhitewater Arroyo virusを保有し、ヒトに感染症を起こすことがわかった。

カリフォルニア州保健所とテキサス大学がアレナウイルス感染症患者3例を発表した。3例は1999年6月〜2000年5月の間に発症している。年齢は14歳、30歳、52歳で、すべて女性であった。2人は南カリフォルニア、他はサンフランシスコの湾岸に住んでおり、発症前の旅行歴はなかった。

症状は発熱、頭痛、筋痛などの非特異的な発熱性疾患にみられる症状で始まり、入院後1週間以内には、全例にリンパ球減少症(25〜 700/mm3)が、2例に血小板減少症(3〜4万/mm3)がみられた。3例とも急性呼吸窮迫症候群を、2例が肝不全と出血症状を合併し、発症後1〜8週で死亡した。

全例からアレナウイルスに特異的なRNAが検出(Nested RT-PCR法)された。14歳の患者からはウイルスが分離された。PCR産物のシークエンスは、Whitewater Arroyo virusに対し一致率87%と、高い相同性を示した。3例とも血清学的検査(間接蛍光抗体法と、EIA法によるIgG抗体測定)は陰性であった。患者のうち1名は発症2週間前にネズミの糞を掃除していたが、残りの2名についてはネズミとの接触歴は明らかでなかった。

(CDC、 MMWR、 49、 No.31、 709-711、 2000)

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