手足口病の地域流行−栃木県
(Vol. 21 p 168-168)

栃木県において、2000年5月下旬(第20〜21週)に、県北の定点医療機関より搬入された手足口病患者の咽頭ぬぐい液9件から、コクサッキーA群ウイルス16型(CA16)が7株、6型(CA6)が1株分離された。

その検体の由来は、O市の幼稚園児(O園)から5件、N町立小学校児童(N小)から1件、N町立保育所入所者(N保)から1件、N町内の託児施設利用者(N所)から2件であった。これらの施設はすべて近隣に位置しており、それぞれの患者等が接触する可能性があった。

患者の症状は、発疹9名、発熱4名(37.2〜38.4℃)で、比較的軽症であった(表1)。

ウイルス分離培養には、HEp-2、Vero、RD、RD-18S細胞を用いた。それぞれ3代継代したが、細胞変性効果(CPE)は確認されなかった。同時に、乳のみマウスに接種し、2代継代したところ、9件中8件が手足の麻痺等の症状を呈した。ウイルスの同定は、国立感染症研究所分与の同定用免疫抗腹水を用いて、補体結合反応(CF)試験により行ったところ、その結果は、7株がCA16、1株がCA6であった。

栃木県における2000年の手足口病患者の発生動向は、感染症発生動向調査によると、19週から報告数が急増し、26週には総数358で、定点当たり7.8人となった。

当該定点医療機関の手足口病患者の報告数は、19週には2名だったが、25週には63名になり、県内の流行状況と同様の経過をたどった。さらに検体を採取し、ウイルス分離を実施している(図1)。

なお、現在県内の他の定点から搬入されている手足口病患者検体から、ウイルスは分離されていない。

栃木県保健環境センター 岡本その子 内藤秀樹 中井定子 新堀精一 長竹一雄

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