ノーウォーク様ウイルス(NLV)による食中毒の集団発生、1999年−香港
(Vol. 21 p 100-100)

香港では過去数年間NLVによる集団食中毒の発生はわずかであったが、1999年には合計28件の集団発生の報告があり、第4四半期に集中していた。過去4年間に報告された30件の集団発生事例中11件では原因食材が特定されており、そのうちの82%は生カキが感染源であった。残る19件の原因については疫学調査の結果から、このウイルスに感染した者との接触、飛沫による感染などが考えれられている。香港で起きた2つの事例について紹介する。

事例1:1999年1月にリハビリテーション施設で126人に嘔吐や下痢がみられた。PCRと電子顕微鏡検査によりNLVによる感染が確認された。疫学調査が行われ、発病は1月14〜15日に集中しており単一暴露と考えられた。調理人14人中1人に下痢症状があり、1月13日の昼食により感染した可能性が高いことが判った。この調理人から鶏肉の粥を介して広がった可能性が高いと考えられた。

事例2:1999年9月保育園において29人の子供のうち12人が嘔吐、下痢の症状を示しNLVによる感染が確認された。9月7日に最初の子供が激しく嘔吐しており、その24〜48時間後に他の子供が発病している。嘔吐した子供の近くにいた子供の方がより発病率が高かったこともあり、最初の子供の吐物からの飛沫感染が示唆された。

(香港Public Health & Epidemiology Bulletin、 9、 No.1、 1、 2000)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp

ホームへ戻る