サルモネラ菌血症による死亡事例−デンマーク

2000年1月初旬に、デンマーク・ベール地区において、同一家族内で同一時期に急激に発症し死亡した2症例が報告された。2症例とも重篤な下痢、腹痛、発熱を呈し、呼吸困難・心不全に陥り、発症後3〜4日で死亡している。剖検の結果、血液、心筋、髄液などからSalmonella Enteritidis(SE)phage type (PT)6が分離された。このSE PT6は同様の症状を呈した家族1名からも分離された。

SE PT6が分離された3症例すべてが発症前に、近隣で飼育されていた鶏の卵を使用したケーキを摂食しており、このケーキからもSE PT6が分離された。また、その近隣の鶏と、その卵からもSE PT6が分離された。その結果、この同一家族内で発生した事例は、SE PT6に汚染された鶏卵を使用したケーキを摂食し、SE PT6による菌血症を起こして死亡したものと考えられる。

一般に、SEによる胃腸炎は大部分が自然治癒し、重篤化して菌血症などを起こすことは稀である。また、SEによる菌血症の致死率は25%以下であると報告されている。この事例は、SE PT6の摂取菌量が非常に多かったと考えられ、そのため、急激に重篤化し死に至ったものと考えられる。

(WHO、 WER、 75、 No.7、 54、 2000)

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